余市のワイナリー全20軒ガイド|場所・創業年・造り手・品種を1軒ずつ紹介【2026年版】

北海道・余市町は、いま日本でいちばん勢いのあるワイン産地のひとつです。町の発表では、余市町内のワイナリーは20軒(2026年3月現在)。隣の仁木町の7軒と合わせると、小さな地域に27軒が集まっています。

この記事では、余市町のワイナリーを1軒ずつ、場所・創業年・造り手・畑の広さ・生産本数・主な品種で紹介します。前半では、20軒を並べてみて見えてきた余市の特徴もまとめました。余市ワインそのものの基本(気候・品種・歴史)は余市ワインとは?で紹介しています。

訪ねる前に:ほとんどのワイナリーは見学できません

最初に大切なことをお伝えします。余市のワイナリーの多くは、家族や少人数で営む小さな造り手です。畑仕事と醸造で手がいっぱいのため、町のガイドでも大半が「見学不可(無断で訪問・農園に立ち入らないように)」と案内されています。

見学や購入ができる主なところは次のとおりです。

  • 余市ワイナリー:工場は自由見学(団体は予約)。ショップ・カフェ・レストランあり
  • OcciGabiワイナリー:事前予約制のガイド付きランチコースあり。直売所・レストランあり
  • ドメーヌ タカヒコ:見学は不可。向かいの「ナナツモリ展望台」から畑を眺めることはできます(畑への立ち入りは禁止)

それ以外のワイナリーのワインは、余市町内の酒販店や、JR余市駅の観光物産センター「エルラプラザ」、全国の取扱酒販店で探すのが確実です。訪ねたいときは、必ず事前に各ワイナリーの公式サイトで最新の案内を確認してください。

20軒を並べてわかった、余市の5つの特徴

1. 20軒のうち13軒が「登町(のぼりちょう)」に集中

所在地を見ると、町の南側の丘陵地・登町に13軒が集まっています。登町はもともとワイン用ぶどうの農家が多い地区で、ぶどう畑が先にあり、そこにワイナリーが次々と生まれてきました。残りは黒川町、山田町、沢町、美園町、豊丘町などに点在しています(ドメーヌ アツシ スズキは所在地非公開)。

2. 半分以上が2016年以降にできた、新しい産地

創業年を並べると、余市の歩みがよく分かります。

時期 できたワイナリー
1974年 余市ワイナリー(醸造開始)
2010〜2015年 ドメーヌ タカヒコ(2010)、リタファーム(2013)、OcciGabi(2013)、登醸造(2014)、平川ワイナリー(2015)、ドメーヌ アツシ スズキ(2015)
2016〜2019年 ドメーヌ・モン(2016)、ワイナリー夢の森(2016)、キャメルファーム(2017)、モンガク谷(2018)
2020年以降 ランセッカ(2020)、ドメーヌユイ(2020)、Misono Vineyard(2021)、山田堂(2021)、LOWBROW CRAFT(2022)、YOKA WINERY(2023)、ドメーヌ・ミズキ ナカイ(2023)、ニトリワイナリー(2025)

1974年から35年ほどは余市ワイナリー1軒だけでした。2010年のドメーヌ タカヒコ設立をきっかけに流れが変わり、20軒のうち12軒が2016年以降、8軒が2020年以降の創業です。余市は2011年に北海道で初めての「ワイン特区」になり、小さな規模でも醸造免許を取りやすくなったことも後押ししました。

3. 主役はピノ・ノワール

各ワイナリーが挙げている主な品種を数えると、品種を公表している19軒のうち、15軒がピノ・ノワールを挙げています。次いでツヴァイゲルトレーベが7軒、ケルナーが6軒です。かつての北海道ワインといえばドイツ系の白ぶどうでしたが、いまの余市は、ブルゴーニュと同じピノ・ノワールの産地として注目されています。

垣根仕立てのぶどうの列。葉の下に黒いぶどうの房が実っている
収穫を待つ黒ぶどう。余市の畑は、垣根仕立てが中心です。(撮影:and wine)

4. 造り手のほとんどが移住者。「タカヒコ門下」も多い

造り手の経歴を見ると、元会社員、銀行員、商社勤務、自転車レーサー、幼稚園の先生など、別の仕事から余市へ移り住んだ人がほとんどです。そして、ドメーヌ タカヒコの曽我貴彦さんのもとで研修してから独立した造り手が少なくとも6人います(ドメーヌ アツシ スズキ、ドメーヌ・モン、ランセッカ、山田堂、LOWBROW CRAFT、ドメーヌ・ミズキ ナカイ)。研修した人が近くで独立し、産地全体が育っていく仕組みが余市の強みです。

5. 年間3,000本から10万本まで、規模はさまざま

生産本数は、余市ワイナリーとキャメルファームの約10万本から、登醸造とドメーヌ・ミズキ ナカイの3,000本まで大きな開きがあります。本数が分かる17軒のうち11軒は年間2万本以下の小さな造り手です。

ワイナリーを支えるぶどう農家

余市のワインを語るうえで欠かせないのが、ぶどう農家の存在です。余市・仁木でワイン用ぶどうの栽培が始まったのは昭和50年代。もともとりんごなどの果樹を育てていた農家が、海外へ視察に出かけながら、ゼロから栽培法を探ってきました。町によると、いまではワイン用ぶどうの栽培農家は70件を超えています。

余市の大きな特徴は、ワイナリーより先にぶどう畑があったことです。長いあいだ、余市のぶどうは道内外のワインメーカーに出荷されてきました。町のサイトで紹介されている農家の例を挙げます。

農園 場所 広さ 主な品種・特徴
中井観光農園 登町 約5.2ha ケルナー、ツヴァイゲルトレーベ、ピノ・ノワールなど。6社のメーカーにぶどうを届けている。2023年に5代目がワイナリーを開いた
木村農園 登町 約8.5ha 先代が植えたピノ・ノワールが中心。ドメーヌ タカヒコの曽我さんが初めて自分のワインを仕込んだのも、この農園のピノ・ノワール
田崎農園 美園町 約8.5ha 昭和60年に栽培を始めた。北海道ワインと契約
細山農園 栄町 約4.5ha 昭和58年ごろに生産を始めた古参。バッカスが中心
ヒロツヴィンヤード 登町 約7.5ha 平成2年にりんご農家から転換。サッポロビールと契約し、ケルナーが中心

ワイナリーで研修した人が独立する流れに加えて、ドメーヌ・ミズキ ナカイのように、ぶどう農家が自分でワインを造る流れも始まっています。

青空の下、丘に続くぶどう畑の列。足元に収穫用の青いコンテナが置かれている
秋、収穫の季節を迎えた余市のぶどう畑。(撮影:and wine)
丘の上のぶどう畑。垣根の列の先に余市の町並みと海、岬が見える
丘の上のぶどう畑から、余市の町並みと海を望む。(撮影:and wine)

余市のワイナリー一覧(創業年順)

ワイナリー 創業 所在地 主な品種
余市ワイナリー 1974 黒川町 ツヴァイゲルトレーベ、ケルナー ほか
ドメーヌ タカヒコ 2010 登町 ピノ・ノワール
リタファーム&ワイナリー 2013 登町 ピノ・ノワール、ピノ・グリ ほか
OcciGabiワイナリー 2013 山田町 ゲヴュルツトラミナー、ピノ・グリ ほか
登醸造 2014 登町 ツヴァイゲルトレーベ
平川ワイナリー 2015 沢町 非公開
ドメーヌ アツシ スズキ 2015 非公開 ツヴァイゲルト、ピノ・ノワール ほか
ドメーヌ・モン 2016 登町 ピノ・グリ
ワイナリー夢の森 2016 豊丘町 ケルナー、シャルドネ ほか
キャメルファームワイナリー 2017 登町 ピノ・ノワール、シャルドネ ほか
モンガク谷ワイナリー 2018 登町 ピノ・ノワールほか(混植・混醸)
ランセッカ 2020 登町 ピノ・ノワール、ツヴァイゲルトレーベ
ドメーヌユイ 2020 登町 ピノ・ノワール、シャルドネ
Misono Vineyard 2021 美園町 ピノ・ノワール、シャルドネ ほか
山田堂 2021 登町 ピノ・ノワール、ミュラー・トゥルガウ ほか
LOWBROW CRAFT 2022 登町 ツヴァイゲルトレーベ、ピノ・グリ
YOKA WINERY 2023 登町 ピノ・ノワール、シャルドネ、ケルナー
ドメーヌ・ミズキ ナカイ 2023 登町 ピノ・ノワール、ケルナー ほか
ニトリワイナリー 2025 登町 ピノ・ノワール、シャルドネ

※ 創業年は、町のワインツーリズムサイトの表記(醸造を始めた年など)を基本にしています。所在地は町名までにしました。見学できないところが多いので、番地を頼りに訪ねることは控えてください。

1軒ずつ紹介

各ワイナリーの「代表的な1本」は、町のワインツーリズムサイトで各ワイナリーが挙げている「おすすめの1本」などから選びました。

余市ワイナリー(1974年〜)

所在地 余市町黒川町(JR余市駅から近い市街地)
運営 日本清酒株式会社(醸造担当:真鍋友弥さん)
畑 自社農園(2014年取得、第3農園まで拡大)+町内の契約農家
年間本数 約100,000本
主な品種 ツヴァイゲルトレーベ、ケルナー、ミュラー・トゥルガウ、アルモノワール、ピノ・ノワール、ナイアガラ、キャンベルアーリー
代表的な1本 樽熟ツヴァイゲルトレーベ(古樽で約2年熟成させた赤)
見学・購入 工場は自由見学(団体は要予約)。ワインショップ、カフェ、レストランあり

余市でいちばん歴史のあるワイナリーです。1974年に「余市ワイン」の醸造を始め、30年以上つきあいのある町内の農家のぶどうと自社農園のぶどうで、余市らしい「地ワイン」を造ってきました。2011年に敷地内へレストランやカフェ、ショップを開き、余市観光の拠点にもなっています。看板は、古樽で約2年熟成させる「樽熟ツヴァイゲルトレーベ」。ワイナリーの雰囲気を気軽に味わうなら、まずはここです。

ドメーヌ タカヒコ(2010年〜)

所在地 余市町登町
造り手 曽我貴彦さん(長野県出身)
畑 約5ha(自社畑「ナナツモリ」)
年間本数 約25,000本
主な品種 ピノ・ノワール
代表的な1本 ナナツモリ ピノ・ノワール(淡い色で、森のような香りの赤)
見学・購入 見学不可。直販なし(町内・札幌・全国の一部酒販店)

いまの余市ブームの出発点といえるワイナリーです。長野県のワイナリーの家に生まれた曽我さんは、栃木県のココ・ファーム・ワイナリーで栽培と原料調達の責任者を務めたあと、2009年に余市へ移住し、2010年に家族経営のワイナリーを立ち上げました。造るのはピノ・ノワールだけ。房ごと野生酵母で発酵させ、澱引きやろ過をしない造りで、「出汁」のようなうま味のあるワインを目指しています。看板の「ナナツモリ ピノ・ノワール」は、初めての自社畑のヴィンテージ(2012年)が発売と同時に完売したことでも知られます。曽我さんのもとからは何人もの造り手が独立しており、余市の産地づくりの中心にいる人でもあります。

リタファーム&ワイナリー(2013年〜)

所在地 余市町登町
造り手 夫婦で営むワイナリー
畑 自社畑「風のヴィンヤード」
年間本数 未確認
主な品種 ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ピノ・ムニエ、シャルドネ、メルロー、ソーヴィニヨン・ブラン
代表的な1本 風のヴィンヤード ピノ・ノワール(2019年産がIWC 2023で銀賞)
見学・購入 見学・ワイナリーでの販売はなし。町内では駅前の酒店やエルラプラザで販売

余市ワイナリー、ドメーヌ タカヒコに続く、余市町で3番目のワイナリーです。専用品種のワインは自社畑のぶどうだけで造り、野生酵母による自然な発酵を基本にしています。ロンドンの国際ワインコンクール(IWC)2023では、「風のヴィンヤード ピノ・ノワール 2019」が銀賞を受けました。公式サイトによると、海外のワイナリーを買収することになり、畑をスタッフに譲ったとのこと。スタッフが醸すワインは2026年からになると案内しています。

OcciGabiワイナリー(2013年〜)

所在地 余市町山田町
造り手 落希一郎さん・落雅美さん
畑 約7ha
年間本数 約70,000本
主な品種 ゲヴュルツトラミナー、ムスカテラー、ピノ・グリ、シャルドネ、アコロン、ピノ・ノワール、カベルネ・クービン ほか
代表的な1本 キュベ・カベルネ(カベルネ系3品種とパラースで造る重厚な赤)
見学・購入 事前予約制のガイド付きランチコースあり。直売所・レストラン・オンラインショップ

西ドイツの国立ワイン学校で学び、新潟でワイナリー「カーブドッチ」を立ち上げた落希一郎さんが、2013年に余市で開いたワイナリーです。建物と庭園、ぶどう畑が一体になった景観づくりを大切にしていて、カリフォルニアのナパ・ヴァレーのワイナリーを思わせる造り。品種ごとにワインを造り分けるのが特徴で、カベルネ系3種とパラースをあわせた重厚な赤「キュベ・カベルネ」が人気です。食事と景色も楽しみたい人に向いたワイナリーです。

登醸造(2014年〜)

所在地 余市町登町
造り手 小西史明さん(秋田県出身)
畑 約1.8ha
年間本数 約3,000本
主な品種 ツヴァイゲルトレーベ
代表的な1本 セツナウタ(ツヴァイゲルトレーベのロゼ)
見学・購入 見学不可。全国の酒販店・飲食店

東京の会社員から2009年に余市へ移住し、2年の農家研修を経て畑を始めた小西さん。2014年に醸造免許を取りました。畑のほとんどがツヴァイゲルトレーベで、野生酵母で発酵させたロゼワイン「セツナウタ」だけを造っています。直接搾った果汁と、皮ごと漬け込んだ果汁を合わせて仕込むのが特徴です。年3,000本と、余市でもとくに小さな造り手のひとつです。

平川ワイナリー(2015年〜)

所在地 余市町沢町
造り手 平川敦雄さん(東京都出身)
畑 約13ha
年間本数 約50,000本
主な品種 非公開
代表的な1本 ローブ(畑の最上部の区画から、良い年だけ造る赤)
見学・購入 見学不可。酒販店。関連会社の平川ファームに直売所あり

フランスの国立農業教育機関で醸造の国家資格を取り、フランスで12年間、ぶどう栽培と醸造の技術者として働いた平川さんのワイナリーです。南仏やアルザスのミシュラン三つ星レストランでソムリエを務めた経験もあり、北海道の食や料理文化に寄り添うワインを目指しています。とくに余市のケルナーの可能性を高く評価しています。畑の区画ごとの味わいを大切にした造りで、上部の区画の良い年だけで造る赤「ローブ」などがあります。

ドメーヌ アツシ スズキ(2015年〜)

所在地 非公開
造り手 鈴木淳之さん(札幌市出身)
畑 約5.6ha
年間本数 約8,000本
主な品種 ツヴァイゲルト、ピノ・ノワール、ケルナー、バッカス、シャルドネ ほか
代表的な1本 Tomo Rouge(黒い果実の風味がしっかりした赤。肉料理に)
見学・購入 見学不可。直販なし(全国の酒販店)

2012年に余市へ移住し、ドメーヌ タカヒコで研修してから2015年に開業した、「タカヒコ門下」の最初の世代です。化学農薬をできるだけ使わない栽培で、ぶどうの個性やその年の気候をそのまま表現するワインを目指しています。2021年にワイナリーをリニューアルしました。代表的なワインは、黒い果実の風味がしっかりした赤「Tomo Rouge」。

ドメーヌ・モン(2016年〜)

所在地 余市町登町
造り手 山中敦生さん
畑 未確認
年間本数 未確認
主な品種 ピノ・グリ
代表的な1本 Dom Gris(ドン・グリ。ピノ・グリのワイン)
見学・購入 見学不可。ワイナリーでの販売なし

ドメーヌ タカヒコで研修したあと、2016年に独立した山中さんのワイナリーです。余市では珍しく、ピノ・グリに特化しているのが最大の特徴。除草剤や化学肥料を使わない栽培と、野生酵母による発酵で、ほかにない個性のピノ・グリを造っています。海外の輸入業者にも扱われ、国外でも名前が知られている造り手です。

ワイナリー夢の森(2016年〜)

所在地 余市町豊丘町
代表 大下聡さん
畑 未確認
年間本数 未確認
主な品種 ケルナー、シャルドネ、ピノ・ノワール、ツヴァイゲルト、ナイアガラ
代表的な1本 未確認
見学・購入 公式サイトでは土日祝の現地直売を案内(最新の状況は未確認)

2016年10月に設立されたワイナリーです。代表の大下さんは夢の森幼稚園の理事長でもあり、子どもたちのための環境づくりとしてぶどう畑を手に入れたことがきっかけでした。清潔さを重視してステンレスタンクで仕込み、酸化防止剤を控えめにして、自然な状態に近いワインを目指しています。

キャメルファームワイナリー(2017年〜)

所在地 余市町登町
運営 株式会社キャメル珈琲のグループ(ワイナリー長:伊藤愛さん)
畑 約16ha
年間本数 約100,000本
主な品種 ピノ・ノワール、シャルドネ、ケルナー、ブラウフレンキッシュ、レジェント
代表的な1本 レガミ ブリュット(すっきりした辛口の白スパークリング)
見学・購入 見学不可。町内の酒店などで販売

輸入食品店「カルディコーヒーファーム」で知られるキャメル珈琲が、2014年に始めたワイナリー事業です(町のガイドでは2017年〜)。余市で40年以上ワイン用ぶどうを育ててきた農家から栽培の技術を受け継ぎ、イタリアの伝統製法と新しい技術を取り入れています。主力はスパークリングワインで、瓶内二次発酵とタンク内二次発酵(シャルマ方式)の両方で造っています。2021年には、ピノ・ノワールが国際コンクールで金賞を受けました。

モンガク谷ワイナリー(2018年〜)

所在地 余市町登町
造り手 木原茂明さん(東京都出身)
畑 約2ha
年間本数 約12,000本
主な品種 ピノ・ノワール、ピノ・タージュ、シャルドネ、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミナー
代表的な1本 杤(とち)(ピノ・ノワールが7割以上の辛口の「白」)
見学・購入 見学不可。全国の取扱酒販店

商社勤めから2012年に余市へ移住した木原さんのワイナリーです。1つの畑にいくつもの品種を混ぜて植え、一緒に仕込む「フィールドブレンド」が特徴。最初は無農薬・無肥料で植えた苗がほとんど育たない苦労を経て、2018年から自家醸造を始めました。ワイン名には「杤(とち)」「栢(はく)」「楢(なら)」と木の名前が付いています。ピノ・ノワールを7割以上使った辛口の「白」など、ほかにない味わいが魅力です。

ランセッカ(2020年〜)

所在地 余市町登町
造り手 山川惇太郎さん(仁木町出身)
畑 約2ha
年間本数 約12,000本
主な品種 ピノ・ノワール、ツヴァイゲルトレーベ
代表的な1本 KOYACHI パストゥグラン(ピノ・ノワールとツヴァイゲルトの軽快な赤)
見学・購入 見学不可。直販なし(全国の酒販店)

東京で自転車レーサーとして活動したあと、2015年に地元近くの余市へ。町内のワイナリーで栽培と醸造を学び、2020年秋に醸造免許を取りました。夫婦二人で、西日がよく当たる畑のピノ・ノワールとツヴァイゲルトレーベを育てています。名前は、楽しさを表す「ラン」と冬の「雪華(せっか)」を組み合わせた造語。2つの品種を合わせた軽やかな赤「KOYACHI パストゥグラン」が代表作です。

ドメーヌユイ(2020年〜)

所在地 余市町登町
造り手 杉山哲哉さん・彩さん
畑 約5ha
年間本数 約20,000本
主な品種 ピノ・ノワール、シャルドネ
代表的な1本 A3 Pinot Noir(A3区画のピノ・ノワールを樽熟成させた赤)
見学・購入 見学不可。全国の取扱酒販店

北海道大学で出会った夫婦が、2017年に余市へ移住して開いたワイナリーです。町内とニュージーランドのワイナリーで研修し、2020年秋に醸造免許を取りました。「ユイ」は人や土地との縁、助け合いを表す「結」から。海外への輸出に力を入れているのが特徴で、スイス、スウェーデン、スペイン、香港、シンガポールなどに出荷しています。ワイン名には「A2」「A3」と畑の区画名が付いています。

Misono Vineyard(2021年〜)

所在地 余市町美園町
造り手 松村宗雄さん(バーガンディー株式会社 代表)
畑 約8ha(うち植栽済み約5.5ha)
年間本数 約10,000本
主な品種 ピノ・ノワール、シャルドネ、アルバリーニョ、カベルネ・フラン ほか
代表的な1本 Pinot Noir(全量除梗・天然酵母。数年寝かせてから開けたい赤)
見学・購入 見学不可。全国の酒販店

商社勤務を経て、東京・青山でブルゴーニュとシャンパーニュ専門のワインバーを営んでいた松村さんのワイナリーです。ブルゴーニュの造り手エティエンヌ・ド・モンティーユ氏の函館プロジェクトに参加したあと、2019年に余市の東向きの丘を切り開きました。ピノ・ノワール10種類、シャルドネ4種類のクローン(同じ品種の中の系統)を植え、世界で通用するワインを目指しています。

山田堂(2021年〜)

所在地 余市町登町
造り手 山田雄一郎さん(兵庫県出身)
畑 約3.1ha
年間本数 約20,000本
主な品種 ピノ・ノワール、ミュラー・トゥルガウ、ナイアガラ
代表的な1本 ピノノワール・ロゼ
見学・購入 見学不可。直販なし(町内の酒店など)

幼稚園の先生、青年海外協力隊を経てスペインでワイン醸造を学び、山梨のワイナリーで5年間働いた山田さん。ドメーヌ タカヒコの「ナナツモリ」に衝撃を受けて、2019年に余市へ移住しました。目指すのは、若い人が手に取りやすい値段のテーブルワイン。前の持ち主から受け継いだナイアガラも育てています。ピノ・ノワールのロゼを主力にしていく考えです。

LOWBROW CRAFT(2022年〜)

所在地 余市町登町
造り手 赤城学さん(千葉県出身)
畑 約2ha
年間本数 約10,000本
主な品種 ツヴァイゲルトレーベ、ピノ・グリ
代表的な1本 Niagara(町内の農家のナイアガラを集めて造る白)
見学・購入 見学不可。直販なし(町内・道内・一部本州の酒販店)

2014年に北海道へ移住し、農園で4年ぶどうを育てたあと、ドメーヌ タカヒコで3年研修した赤城さん。りんごを保管する雪室だった石蔵を醸造所にして、2022年から仕込みを始めました。自分の畑ではピノ・グリとツヴァイゲルトレーベを1haずつ栽培。町内のいろいろな農家のナイアガラを集めて造る「Niagara」など、気取らず毎日の食事に合わせられるワインを目指しています。

YOKA WINERY(2023年〜)

所在地 余市町登町
造り手 喜久雅史さん(福岡県出身)
畑 約2.1ha
年間本数 約10,000本
主な品種 ピノ・ノワール、シャルドネ、ケルナー
代表的な1本 余香 ピノ・ノワール(野生酵母で発酵、樽で1年熟成)
見学・購入 見学不可。全国の取扱酒販店

元銀行員の喜久さんは、2018年に余市へ移住。町内の農園で1年ぶどう栽培を学び、30年以上手つかずだった土地を、大きな石や岩盤と格闘しながら切り開きました。岩見沢市の10Rワイナリーに4年通って醸造を学び、2023年から自社で仕込んでいます。ワインは「余香(よか)」「余珀」のシリーズ。

ドメーヌ・ミズキ ナカイ(2023年〜)

所在地 余市町登町(中井観光農園)
造り手 中井瑞葵さん(余市町出身、中井観光農園の5代目)
畑 約5.2ha
年間本数 約3,000本
主な品種 ピノ・ノワール、ケルナー、ツヴァイゲルトレーベ
代表的な1本 Nobori No Oka Nakai Rose(和食や魚料理に合わせたいロゼ)
見学・購入 見学不可。直売所・道内の酒販店で販売予定(時期は未定)

約100年続く農家で、40年前からワイン用ぶどうを育ててワイナリーに届けてきた中井観光農園に、2023年に生まれたワイナリーです。町内のぶどう農家が自分でワイナリーを開いた初めての例として注目されています。中井さんはドメーヌ タカヒコで研修しながら醸造を始めました。余市の魚料理に合う、うま味のあるロゼを目指しています。

ニトリワイナリー(2025年〜)

所在地 余市町登町
造り手 山田彩織さん(主任)
畑 約2.4ha
年間本数 約8,000本
主な品種 ピノ・ノワール、シャルドネ
代表的な1本 エヌワイン シャルドネ(ステンレスタンクで仕込んだ白)
見学・購入 見学不可。町内の酒販店などで販売予定

2025年4月、海を見下ろす登の丘に醸造所を新しく建てた、余市でいちばん新しいワイナリーです。りんごや梨の果樹園だった畑に、2022年からピノ・ノワールとシャルドネを植えてきました。委託醸造を経て、2025年産から自社で仕込んでいます。今後はアルモノワール、ゲヴュルツトラミナー、リースリング、ピノ・グリなども増やし、数年後には瓶内二次発酵のスパークリングも出す予定です。

余市のワインが買える店・飲める店

見学できないワイナリーが多いぶん、町なかで買う・飲むのが余市ワインの楽しみ方の中心になります。

買える店

  • エルラプラザ(余市町観光物産センター):JR余市駅の中。オンラインショップもあります
  • 馬場商店、中根酒店:余市町内の酒店。いくつものワイナリーが取扱店として挙げています
  • 柿崎商店:駅前の酒店
  • ワイナリー直営のショップ:余市ワイナリー、OcciGabi

人気の銘柄は入荷してすぐに売り切れることがあります。在庫は事前にお店へ確認してください。

飲める店(町の紹介より)

余市町のワインツーリズムサイトでは、余市のワインを楽しめる店として次の18店を紹介しています(2026年5月更新)。取扱ワインは一部の抜粋です。在庫や営業日は変わるので、行く前に各店へ確認してください。

店名 場所・種類 取扱ワインの例
かくと徳島屋 駅前。大正13年創業の旅館の食事処(完全予約制) モン、タカヒコ、アツシ スズキ、ランセッカ ほか
がんがら 黒川町。焼き鳥 登醸造、平川、モン、キャメル ほか
すなっく舞 黒川町。スナック 余市ワイナリー、キャメル、リタファーム、平川 ほか
余市ワイナリーレストラン 余市ワイナリー内 余市ワイナリー
Jijiya・Babaya 朝日町。ピッツァとパスタ タカヒコ ほか
レストラン OcciGabi OcciGabiワイナリー内 OcciGabi
ファームレストラン ヨイッチーニ 大川町。ワインバール(金・土曜) モン、ランセッカ、山田堂、Misono ほか
リフトアップ 登町。2026年春開業のオーベルジュ 町の掲載時点では未定
Y'n 駅前。週末のワインバー 夢の森、キャメル、平川 ほか
Yoichi LOOP 駅前のホテルのレストラン タカヒコ、モン、平川 ほか
レストラン&カフェ マーレブルー 駅から徒歩2分。イタリアン OcciGabi
Qunpue(くんぷう) 駅前。ワイン&カフェ Misono、タカヒコ ほか
小さな石ぐら "KiKi" 駅近く。石蔵のカフェ&バー 日替わり
ワイン、ときどき豚 駅から徒歩3分。ワインポークの料理 余市・仁木のワイン全般
ワインショップ&酒場 キヘン 駅前。ボトルも買える アツシ スズキ、タカヒコ、モン、YOKA ほか
ルナ 黒川町。スナック(夜) 余市・仁木のワイン各種
ボッテガ パルコ フィエラ 余市 登町。生ハムとサラミの工房 余市のワインを日替わりでグラス提供
タヌクラン 駅前。バー ユイ、登醸造、Misono ほか

なかなか手に入らないドメーヌ タカヒコのワインも、町の紹介では、かくと徳島屋、Jijiya・Babaya、Yoichi LOOP、Qunpue、キヘンの取扱ワインに挙がっています。

年に一度、畑が開く「ラフェト」

ふだんは入れないぶどう畑を歩けるのが、毎年9月の「ラフェト・デ・ヴィニュロン・ア・ヨイチ(余市農園開放祭)」です。2015年にドメーヌ タカヒコの曽我さんの発案で始まり、登地区のワイナリーやぶどう農園を巡りながら、ワインとフードを楽しめます。

2026年は9月6日に第10回が開かれました。近年は入場チケットが発売と同時に売り切れる年が続いています。行きたい方は、春から夏にかけて余市観光協会などの案内をこまめに確認してください。2026年は、会場とJR余市駅の間に無料のシャトルバスが出ていました。

札幌から余市への行き方

  • JR:札幌駅から快速で小樽駅まで約32〜40分。小樽で函館本線に乗り換えて、余市駅まで約25分
  • 高速バス:札幌駅前から北海道中央バスの余市方面の高速バスもあります。便数が限られるので、時刻表を確認してください
  • 車:札幌北インターから余市インターまで約1時間

ワイナリーや飲食店を巡ってワインを楽しむなら、電車かバスで行きましょう。飲酒運転は法律で禁じられています。ワインを飲める店の多くはJR余市駅の近くに集まっていて、歩いて回れます。

よくある質問

余市町にワイナリーは何軒ありますか?

町の発表では20軒です(2026年3月現在)。隣の仁木町の7軒と合わせて、一大ワイン産地になっています。

余市でワイナリー見学はできますか?

余市ワイナリーは自由に見学できます(団体は予約)。OcciGabiワイナリーには事前予約制のガイド付きランチコースがあります。そのほかの多くのワイナリーは見学できず、無断で訪ねたり畑に入ったりしないよう案内されています。隣の仁木町では、NIKI Hills Winery や Domaine Bless がワイナリーツアーを行っています。

余市のワインはどこで買えますか?

JR余市駅の中のエルラプラザ、町内の酒店(馬場商店、中根酒店、柿崎商店など)、ワイナリー直営のショップ(余市ワイナリー、OcciGabi)で買えます。多くのワイナリーは直販をしておらず、全国の取扱酒販店で販売しています。

ドメーヌ タカヒコのワインは手に入りますか?

ワイナリーでの直販はなく、余市町内、札幌、全国の一部の酒販店で販売されています。入手しにくいので、余市の飲食店で飲むのも一つの方法です(上の「飲める店」をご覧ください)。

札幌から日帰りで行けますか?

行けます。JRなら小樽乗り換えで1時間少し、車なら約1時間です。駅の近くにワインを飲める店が集まっているので、電車で行って町なかを歩くのがおすすめです。

これからの余市

余市では、いまも新しいワイナリーの準備が続いています。たとえば、仁木町でドメーヌ・アルビオーズを営む株式会社フィールドオブドリームスは、余市駅前のホテル「Yoichi LOOP」も手がけ、「Field of Dreams Winery」の名前で自社のワインも出しています。町内には、ワイナリーにぶどうを届ける農家もたくさんあり、ぶどう畑の広がりがワイナリーの増加を支えています。一方で、温暖化による気候の変化、鳥の被害、造り手の増加など、課題もあります。1軒1軒の個性がはっきりしているのが余市の魅力。気になる造り手を見つけたら、ぜひ追いかけてみてください。

隣の仁木町のワイナリーは仁木町のワイナリーガイドで紹介しています。

主催者より

and wine の主催者は、いま余市に暮らしていて、秋にはワイナリーの収穫ボランティアにも参加しています。ぶどうを一房ずつ手で摘んでいると、余市のワインがたくさんの人の手に支えられていることを実感します。札幌のワイン会では、そんな余市のワインを少しずつ飲み比べられるようにしています。

余市のワインを飲み比べるなら

余市のワインの多くは生産本数が少なく、1本ずつ買いそろえるのは大変です。札幌の and wine では、余市のワインを中心に、何種類も少しずつ飲み比べられるワイン会を開いています。初めての方はワイン会とは?、一人参加の方は札幌のワイン会に一人で参加するには?をご覧ください。品種の違いはワイン初心者の基本用語集、日本ワインの位置づけは新世界(ニューワールド)ワインとは?でも紹介しています。

参考にした情報

  • 余市町「余市ワインツーリズムプロジェクト」Wineries Guide(各ワイナリーの創業年・所在地・造り手・品種・栽培面積・生産本数・見学)
  • 余市町「余市ワインツーリズムプロジェクト」お店紹介(2026年5月更新)、ぶどう生産者からのメッセージ
  • 北海道 後志総合振興局「Winery YUMENOMORI」「Rita Farm & Winery」
  • 仁木町ワインツーリズム(DOMAINE HARBIOSE の紹介、アクセス案内)
  • ANA「ラフェト・デ・ヴィニュロン・ア・ヨイチ(農園開放祭)2026」
  • 各ワイナリーの公式サイト(リタファーム&ワイナリー、ワイナリー夢の森 ほか)
  • 浮田泰幸『ドメーヌ・タカヒコ奮闘記』(K&Bパブリッシャーズ)

※ 情報は2026年10月時点で確認したものです。栽培面積や生産本数は年によって変わります。見学や販売の可否は、訪問前に各ワイナリーの公式サイトで必ずご確認ください。

次回の開催は未定です。

決まり次第、LINEとこのサイトでお知らせします。一人参加・ワイン初心者の方も歓迎です。

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